原発性胆汁性胆管炎(Primary Biliary Cholangitis: PBC)とは、肝臓内にある小さい胆管が自己の免疫によって破壊され、慢性的に胆汁がうっ滞してしまう中年女性に好発する肝臓病です。うっ滞した胆汁により肝細胞が破壊され、徐々に肝硬変へと移行していきます。

病名の変更

肝硬変へ進行して症状がでるまで診断することが難しかったので、以前は原発性胆汁性肝硬変(Primary Biliary Cirrhosis: PBC)と呼ばれていましたが、早期に診断が可能となり、多くの患者さんで治療により肝硬変への進展を防ぐことが可能となったことで、2016年に日本医学会において病名変更が承認されました。

症状

多くの患者さんは自覚症状のない無症候性で見つかります。特徴的な症状として皮膚のかゆみ(掻痒感)があります。肝硬変になると、全身がだるい(全身倦怠)、食欲がない(食欲不振)、お腹が張る(腹部膨満)などの症状が出現します。進行すると、皮膚が黄色くなる(黄疸)、全身がむくむ(浮腫)、お腹に水が貯まる(腹水)、意識が混濁する(脳症)などの症状が出現します。

診断

血液検査で、1)胆汁のうっ滞を反映して慢性的にγGTPやアルカリホスファターゼなどの胆道系の酵素の上昇、2)自己抗体である抗ミトコンドリア抗体の検出、3)肝臓の組織検査で非化膿性破壊性胆管炎などの所見の3項目のうち、2項目以上を満たす場合にPBCと診断されます。高コレステロール血症、骨粗鬆症、他の自己免疫疾患などの合併も参考となります。

治療

肝臓内の胆汁のうっ滞を改善するウルソデオキシコール酸(商品名:ウルソ錠)が治療に用いられるようになり、多くの患者さんで、肝硬変への進展を防げるようになってきました。肝硬変へ進展してしまった場合には、肝硬変の治療が行われます。尚、PBCは国の難病に指定され、特定医療費受給者証を取得すれば、医療費の助成を受けられます。問い合わせ先は区市町村の保健所です。