自己免疫性肝炎とは、何らかの自己の免疫により慢性的に肝炎をおこし、肝細胞が障害されていく中年の女性に好発する病気です。適切な治療を行わないと、肝硬変へと進展していく危険があります。

発症機序

自己免疫性肝炎の発症には、自己の免疫の関与が強く疑われ、自己免疫疾患のひとつと考えられています。また、日本では両親から遺伝により受け継いだ白血球の血液型のひとつであるHLA-DR4が陽性の人に多いことがわかっています。

症状

自己免疫性肝炎は、慢性的に肝炎が持続しても、B型やC型ウイルスが原因の慢性肝炎と同様に、症状は現れにくく、症状があったとしても、疲れやすい(易疲労感)、食欲がない(食欲不振)などで自己免疫性肝炎に特有な症状はありません。肝硬変が進展すると、皮膚が黄色くなる(黄疸)、全身がむくむ(浮腫)、お腹に水が貯まる(腹水)などの症状が出現してきます。

診断

自己免疫性肝炎は症状が現れにくく、健康診断などの血液検査でAST、ALTなどの肝機能検査の高値で多く見つかります。血液検査で、B型やC型肝炎ウイルスマーカーが陰性で、自己抗体のひとつの抗核抗体が陽性で、γグロブリンのひとつのIgGが高値であり、中年女性であると自己免疫性肝炎が強く疑われます。飲酒や薬物服用の状況の確認や腹部超音波検査による脂肪肝の否定なども必要です。肝生検により組織学的な評価が必要になることもあります。

治療

ステロイド(副腎皮質ホルモン)剤による薬物療法が治療の基本となります。ステロイド治療により肝機能検査の改善がみられてきたら、副作用を抑えるために、徐々に薬の量を減らしていきますが、中止した場合には再燃が認めらことも多く、長期間の服用が必要されています。ステロイドを減量するために、ウルソデオキシコール酸(商品名:ウルソ錠)を併用したり、軽症ではウルソ錠を単独で使用することもあります。