C型慢性肝炎と非アルコール性脂肪性肝炎では肝内貯蔵鉄が肝炎進展に関与することから、鉄制限が必要となってきます。

C型肝炎

C型慢性肝炎では、肝臓に鉄が溜まりやすく、 必要以上に溜まった鉄が、過酸化水素と反応して活性酸素を発生させ、肝細胞を傷つけて、病態を悪化させるので、鉄貯蔵の指標の血中フェリチン高値の人は鉄制限食療法が行われます。しかし、現在では経口薬のみでほとんど副作用がなく、95%以上の人で、C型肝炎ウイルスを体内から排除することができるようになり、鉄制限が必要な人はかなり減っています。

非アルコール性脂肪肝炎

「25)非アルコール性脂肪肝炎とは?」で述べましたが、脂肪肝の中に非アルコール性脂肪肝炎(NASH)というアルコールや肝炎ウイルス感染などの原因がないのに、肝臓に脂肪が沈着し、炎症を起こし、線維化していく肝臓病があります。このNASHでも血中フェリチン高値の人が多く、発症・進展には肝への鉄過剰蓄積により惹起される酸化ストレスの関与が示唆されています。

鉄制限食

6-7㎎/日以下を目標に鉄分を制限した食事によって体内に取り込まれる鉄をコントロールします。肉や魚の赤身や血合い部分にヘム鉄という吸収の良い鉄が多く含まれているので、できるだけ避けます。卵黄、豆類、青菜にも鉄が多く含まれています。鉄過剰は望ましくないだけで、鉄分を全くなくす必要はなく、バランス良い食事を心がけます。

健康食品・サプリメント

健康食品やサプリメントには鉄分が多く含まれているものがあるので注意が必要です。ウコンはアルコールの分解を促進する効果があるため、昔から肝臓に良い健康食品として知られていますが、ウコンには多くの鉄分が含まれています。青汁、アガリスク、鉄強化食品なども注意が必要です。