肝移植とは、肝臓が機能不全に陥ってしまい、他の治療法では回復の見込みがない場合、病気の肝臓を取り出し、健康な肝臓を移植する治療です。

2種類の肝移植

生体肝移植と脳死肝移植があります。親族の健常人(ドナー)の肝臓の一部を肝臓病の患者さん(レシピエント)に移植する生体部分肝移植が日本では主に行われています。脳死肝移植では、脳死の患者さん(ドナー)とレシピエントの間を日本臓器移植ネットワークが取り持ち、移植が行われています。

対象となるレシピエント肝臓病

肝細胞癌(肝硬変に合併する場合で、遠隔転移と血管侵襲を認めず、径5cm以内かつ5 個以内かつ AFP500ng/ml 以下のもの)、肝内胆汁うっ滞症(胆道閉鎖症、原発性胆汁性胆管炎など)、肝硬変(Child-Pugh分類10点以上の非代償性)劇症肝炎などが対象となります。小児では胆道閉鎖症が最多で、成人では肝細胞癌、原発性胆汁性胆管炎、C型肝硬変の順に多いです。9疾患の肝移植は健康保険が適用されています。

ドナーの要件

配偶者など血縁のない親族もドナーとなれます。親族6親等以内、姻族(配偶者の親族)3親等以内の逸脱は許容されていません。年齢は成人で60歳代半ばを上限としている施設がほとんどです。部分的に肝臓を提供した後、残りの肝臓は再生し、容積も機能も提供前とほぼ同等に回復します。

移植後の経過

移植後には、自己ではないと認識されドナーの肝臓を排除しようとするレシピエントの免疫機能による拒絶反応がおこります。拒絶反応を防止するのに用いる免疫抑制剤が進歩したことによって、肝臓移植の成功率は着実に向上し安定してきています。拒絶反応やもとの肝臓病の再発がなければ、移植された肝臓の寿命は人間の寿命より長いといわれています。