ウイルスを体内に持ち続ける状態(持続感染)の人を ウイルスキャリアと言い、B型肝炎ウイルス(HBV)の持続感染者を HBVキャリア と呼んでいます。

母子感染によるキャリア

異物を排除する免疫が未発達な幼少期(6歳頃まで)にHBVが体内に入るとキャリアとなります。多くはキャリアの母親から出産の前後にHBVに感染し、キャリアとなりますが、キャリアの父親や家族との濃厚接触でもHBVに感染し、キャリアになることがあります。

予防接種によるキャリア

最近はありませんが、B型肝炎訴訟として問題となっている幼少期における集団予防接種などで、注射器の連続使用によりHBVに感染し、キャリアになることがあります。B型肝炎訴訟については、「16)訴訟の対象となるB型肝炎は?」で述べます。

成人になってからのキャリア

成人になってからHBVに感染しても急性肝炎を発症することはあっても、通常は一過性でキャリアにはなりませんが、性行為などによりヨーロッパ型の遺伝子A型のHBVに感染するとキャリアになることがあります。

経過

HBVキャリアの多くは10歳代後半から20歳代に肝炎を発症し、その中の約85~90%は、肝機能正常の非活動性キャリアとなりますが、10~15%は慢性肝炎に移行し、放置すると肝硬変、肝がんに進展します。