Budd-Chiari(バッド・キアリ)症候群とは、肝静脈あるいは肝部下大静脈の閉塞や狭窄により血液の流れが悪くなり、「10)門脈圧亢進症とは?」で述べました門脈圧亢進症などの症状を示す病気です。

原因

肝静脈あるいは心臓へ連なる肝部下大静脈の狭窄や閉塞の原因として、先天的には血管形成の異常、後天的には血液疾患、経口避妊薬の服用、妊娠出産、腹腔内感染、血管炎、血液凝固異常などを基礎疾患として生じた血栓や肝がん、転移性の肝腫瘍などがありますが、原因不明のものも約70%を占めています。

症状

急性型と慢性型に分けられ、80%は慢性型です。初めは無症状ですが、全身倦怠感、肝臓の腫大、腹痛などがみられるようになり、「10)門脈圧亢進症とは?」で述べましたように側副血管が形成されると、下腿の浮腫、腹水、腹壁の皮下静脈怒張、食道・胃静脈瘤、脾腫・脾機能亢進、肝性脳症などの症状が出ます。静脈瘤が破裂すると吐血や下血、脾機能亢進すると出血傾向、貧血などの症状が出ます。

診断

肝臓の腫大、腹水などがあり、肝不全になっているのに、諸検査で原因が見当たらない時や肝機能とDダイマーなどの血栓を評価する血液検査で異常がみられた時にバッド・キアリ症候群が疑われます。腹部ドプラー超音波、造影CT、造影MRIなどの画像検査で、血管が詰まっていることを証明します。肝生検検査で、肝臓がうっ血しているか調べることもあります。

治療

肝静脈あるいは肝部下大静脈の閉塞・狭窄と門脈圧亢進による症状に対する治療が行われます。諸検査で血栓が確認されれば、溶解させるために抗凝固剤が投与されます。カテーテルによる開通術や拡張術、ステント留置または閉塞・狭窄を直接解除する手術、閉塞・狭窄部上下の静脈のシャント手術などが行われます。肝不全例に対しては肝移植も考慮されます。門脈圧亢進による食道・胃静脈瘤、脾腫・脾機能亢進、肝性脳症などの症状に対しても治療が必要となります。