ヘモクロマトーシス(鉄過剰症)とは、体内に貯蔵鉄が増加して臓器に過剰に沈着し、臓器の障害が生じ、肝硬変などを発症する病気です。

原因

原因によって特発性と続発性の2つに分けられます。特発性は、体内の鉄代謝に関与する遺伝子の異常に基づく遺伝性ヘモクロマトーシスを指します。続発性は、鉄代謝に異常がなく、頻回の赤血球輸血や溶血性貧血などでおこる鉄の過剰や、大量の飲酒などによる鉄の過剰摂取などでおきるものを指します。

症状

臓器に鉄の沈着が認められても、蓄積が過剰になり症状が現れるまでに長年を要するため、40~60歳での発症が多くみられます。女性では月経の出血や妊娠・出産によって鉄が失われるため、多くは閉経後に発症します。肝臓、膵臓、皮膚、心臓、関節、甲状腺、下垂体、精巣などの諸臓器に過剰に沈着し、症状を引き起こします。肝硬変、糖尿病、皮膚色素沈着が3主徴、心不全を加えて4主徴ですが、肝不全や心不全が死因になります。

診断

血液検査で、鉄の値、貯蔵鉄を反映するフェリチンの値、鉄を運ぶ役割があるトランスフェリンの飽和率が増加します。画像検査で、CTとMRIは臓器への鉄沈着を診断するために有用な検査で、エックス線吸収値のCT値が増加し、MRIではT2強調画像で信号の減少がみられます。肝生検による実質細胞の鉄沈着の証明、鉄含有量の測定が確定診断になります。原発性ヘモクロマトーシスが疑われる場合には遺伝子検査が行われます。

治療

臓器に沈着した鉄を除去する治療と、生じた臓器障害に対する治療に分けられます。鉄を除去する治療としては、体内から血液を抜く瀉血(しゃけつ)療法と体内から鉄の排泄を促進させる鉄結合(キレート)剤の投与があります。瀉血による血液喪失によって貧血になり造血が亢進するため、臓器に沈着していた鉄が血液中に動員され、臓器中の鉄が減少します。貧血のある人は瀉血の代りに鉄キレート剤が投与されます。肝硬変、糖尿病、 心不全などの発症がある場合はそれぞれの治療を行います。