発見の歴史

1955年インドで発生した飲料水を介した大規模な急性肝炎などの病原体が不明の臨床経過がA型肝炎と似ている肝炎を経口伝播型非A非B型肝炎と呼んでいました。1983 年Balayan らはこの肝炎の患者さんの糞便材料をボランティアに経口投与して急性肝炎を再現し、糞便にウイルス粒子を電子顕微鏡で確認しました。1990 年Reyes らは感染したサルの便と胆汁から遺伝子のクローニングに成功し、E型肝炎ウイルス(HEV)と命名しました。

ウイルスの構造

HEVは外被(envelope)を持たない直径30~40nmの小型球状粒子です。HEV遺伝子は約7,200塩基からなる一本鎖のRNAで、へパウイルス科のヘパウイルス属に分類されています。遺伝子型はⅠ~Ⅳの4つの型に分類され、Ⅰ、Ⅱ型は人にのみ感染しますが、Ⅲ、Ⅳ型は人と動物の両方に感染する人獣共通感染症の原因になることが特徴です。

感染経路

糞便から排泄されたHEVで汚染された食物や水を摂取することで感染が成立する糞口感染やブタ、シカ、イノシシなどの動物の生刺しやレバ刺しなどの喫食による経口感染が主たる感染経路です。衛生状態の悪い後進国で多くみられますが、日本でも散発的に発生します。ワクチンはまだ開発されていません。

発症する肝臓病

HEVに感染後、平均6週間の潜伏期を経て、E型急性肝炎を発症します。症状はA型急性肝炎と似ていて、発熱、倦怠感などに続いてAST、ALTが上昇します。食欲不振や嘔吐などの消化器症状を伴い、黄疸や肝腫大などが出現します。E型肝炎の致死率はA型肝炎の10倍といわれ、特に妊婦で劇症肝炎の割合が高く、致死率は20%にも達するとされています。多くは、対症療法で回復し、慢性化せず、予後は良好です。E型急性肝炎の診断は、血中のIgA-HEV抗体陽性を確認します。