慢性膵炎とは、膵臓に持続性の炎症が起こり、壊された細胞が線維化し硬くなってしまい、膵臓の機能である食物の消化と糖分の調整が失われてしまう病気です。

原因

男女比は5:1で男性に多く、男女とも60歳代が最多で、主な原因は長期間に大量のアルコールを飲むことです。そのほか、胆石でも発症することが知られており、原因が不明な場合もあります。急性膵炎から慢性膵炎に移行することもあります。遺伝による遺伝性膵炎は、幼少期に発症する場合もあります。

症状

慢性膵炎の初期段階では、膵臓の機能は保たれており、腹痛が主な症状です。重く鈍い痛みが、背中の左側やみぞおちに現れます。痛みは数か月から数年、慢性的に続きます。進行すると、次第に膵臓の機能が低下し、著しく低下すると、消化不良を伴う下痢や体重減少、糖尿病の発症や悪化が生じます。

診断基準

2019年に日本膵臓学会が作成した診断基準では、1)内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)などの画像検査で特徴的な所見、2)生検による組織検査で特徴的所見、3)反復する上腹部痛または背部痛、4)血中、または尿中膵酵素(特異性の高い膵アミラーゼ、リパーゼなど)が連続して複数回にわたり正常範囲を超えて異常、5)膵外分泌機能検査で明らかな低下、の診断項目の中、1)または2)の確診所見、あるいは1)または2)の準確診所見と3)4)5)のうち2項目以上を慢性膵炎の確診例としています。

治療

治療の基本は禁酒です。喫煙も慢性膵炎を悪化させるので、禁煙も重要です。病気に応じた脂肪制限食も必要です。腹痛に対しては鎮痛剤や蛋白分解酵素阻害剤の内服を行います。内視鏡を用いて、膵管が細くなっている場合はステント(プラスチック製の筒)を留置して膵管を拡げたり、膵石が痛みの原因と考えられる場合には除去を行います。膵石が大きい場合には、体外衝撃波結石破砕療法(ESWL)を併用します。膵液の不足による消化不良の症状に対しては、膵酵素剤の内服を行います。