肝臓は肝機能の本質を担う肝実質細胞(肝細胞)と肝細胞の増殖や機能を支える肝非実質細胞により構成されています。肝非実質細胞は肝星細胞、類洞内皮細胞、クッパー細胞などから構成されています。

肝星細胞

肝星細胞は肝臓内のディッセ腔と呼ばれる肝細胞と類洞内皮細胞の間隙に存在します。体内のビタミンAの80%が星細胞の細胞質内の脂肪滴に貯蔵されています。肝傷害時に活性化し、肝細胞の再生に必要なHGFなどのサイトカインを分泌し肝再生を促進します。ウイルスやアルコールなどの刺激で活性化し、筋線維芽細胞に変身し、コラーゲンを産生するようになり、肝線維化に関わることも知られています。

類洞内皮細胞

肝臓の類洞は通常の毛細血管内皮と異なり基底膜を欠き、径120nmの小孔が多数開いている特殊な内皮細胞で隔てられ、肝細胞との間にディッセ腔と呼ばれる間隙があります。内皮細胞の小孔を通して血液の液性成分やカイロミクロンのような小粒子は自由にディッセ腔へ流入し、肝細胞の細胞膜に接触します。内皮細胞は肝細胞への物質交換の調節に重要 な役割をはたしている可能性が示唆されています。

クッパー細胞

クッパー細胞は類洞腔内にあって突起で内皮細胞に接着しているマクロファージの一種です。クッパー細胞は異物や腸管由来の内毒素(エンドトキシン)を取込み処理するなど、自然免疫の機能を担っています。異物を貪食すると活性化し、種々の化学物質を放出して、肝星細胞を刺激し活性化させ、線維化や再生などの現象に関わることも明らかとなっています。

その他細胞

肝臓内にはクッパー細胞のほかに樹状細胞、ナチュラル・キラー細胞(ピット細胞)、T細胞、B細胞などの免疫に関わる細胞も存在しています。肝星細胞、類洞内皮細胞と免疫に関わる細胞は肝小葉内の類洞壁を構成するので、類洞壁細胞と総称されています。小葉間の結合組織(グリソン鞘)内には、胆管を造る胆管上皮細胞と結合組織細胞として筋線維芽細胞があります。