原発性硬化性胆管炎(PSC)とは、胆管の壁が炎症によって線維化をきたして硬くなり、内腔が狭くなっていく病気です。

原因

原因は不明ですが、PSCは潰瘍性大腸炎とクローン病が含まれる炎症性腸疾患との関連が認められています。こうした関連性と自己抗体の存在から、免疫を介した発生機序が疑われています。また、遺伝的素因の存在も示唆されています。

症状

PSCは、皮膚が黄色くなった(黄疸)り、皮膚のかゆみ(掻痒)で発症することが多いですが、健診や人間ドックで肝機能や腹部超音波検査の異常をきっかけに無症状で見つかる場合もあります。胆汁の流れが悪くなり、菌が増殖すると、発熱や腹痛などの胆管炎の症状がでることもあります。肝硬変になり、進行すると黄疸のほか、浮腫、腹水、肝性脳症などの症状がでます。

診断

血液検査では、γGTPやアルカリホスファターゼなど胆道系酵素の上昇が慢性的にみられます。PSCに特異的ではないですが、抗平滑筋抗体などの自己抗体が陽性になることがあります。画像検査では、磁気共鳴胆管膵管造影(MRCP)や内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)で、PSCに特徴的な肝内、肝外胆管の広範囲な壁不整や狭窄がみられます。肝生検による組織検査では、初期は特徴的な所見がありませんが、進行すると胆管周囲の同心円状の層状線維化がみられます。

治療

胆汁のうっ滞を改善するウルソデオキシコール酸(商品名:ウルソ錠)の内服が用いられ、血液検査の改善効果は確認されていますが、長期的に進行を抑える効果は結論がでていません。胆管の狭窄に対して内視鏡的胆管拡張術が行われ、予後が改善するとの報告はあります。肝硬変が進行して肝不全に陥った場合は、肝移植の適応となり、(肝臓病)の 「27)原発性胆汁性胆管炎とは?」で述べた原発性胆汁性胆管炎と伴に進行性肝内胆汁うっ滞症として保険診療の対象となっています。