肝臓を構成する主要な細胞で肝臓の主要な機能を担う細胞を肝実質細胞(肝細胞)と呼んでいます。

構造

肝細胞の数は2,500億個で、この肝細胞が50万個ほど集まって直径1〜2mmの六角柱の集合体である肝小葉を作っています。単一の肝細胞は径約25~30μmの多面体で、肝小葉内の血液の流れ道の類洞に対する面と互いに接着する面が区別されます。肝細胞は門脈で運ばれてきた栄養素を吸収し、合成した物質を血流へ放出するので、類洞に沿って1列に並んでいます。

機能

「2)肝臓の機能は?」で述べました代謝・貯蔵、解毒、胆汁の生成・分泌などの働きは、肝臓の70~80%を構成する肝細胞が担っています。炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質をはじめ、消化器官から取り込まれた栄養素を分解したり、合成したり、貯えたりします。アルコールや薬剤など摂取した物質や代謝で生じた体に有害な物質を分解して、毒性の低い物質に変えるという解毒作用を行っています。コレステロールと胆汁酸から胆汁をつくり、小腸で脂質の消化吸収を助けために胆管に分泌しています。

細胞内小器官

肝細胞の細胞質には、さまざまな機能を営む細胞内小器官が含まれています。ATPを合成する多数のミトコンドリアがあり、旺盛なエネルギー代謝を伺わせます。発達したリボソームが付着した粗面小胞体やゴルジ装置は活発なたんぱく質合成を反映しています。解毒作用に関与する滑面小胞体も発達しています。

再生能力

肝障害時や肝切除術後の肝細胞の喪失や続発する肝機能障害に対し、残った肝臓の中の肝細胞などの構成細胞の肥大や増殖により肝容積および肝機能を回復し、恒常性を維持しようとしています。肝臓は哺乳類の内臓としては例外的に高い再生能力があり、人では3分の2を切除しても2週間ほどで元の大きさに戻ります。肝臓の再生は、内皮細胞や骨髄細胞などが関与し、肝細胞増殖因子や上皮成長因子などのサイトカインネットワークによって調節されていることが分かっています。